「おかえりなさい」

JR福知山線の事故より１２年が経ちました。
以前、Y本部長という書き方で師匠の話を書きました。

本日、JR福知山線の犠牲者名簿を検索したところ、全てリンク切れ
個人情報保護法というのに抵触するのでしょうか・・・。

名前を一切明かさないのですね。

今日から、講習師一条としてスタートします。

自分の教えの根本は矢島さんと過ごした日々を抜きには語れません。

そして、会社名を「My Company」として、
矢島さんの弟子として
風俗における教えをこれから伝えていきたいと思います。

今の風俗業界に一番必要なものは、
「女の子に対する教育です。」

「教育」と書くと微妙なニュアンスですが、
正しくは「フォロー」と「ケアー」です。

何を「フォロー」「ケアー」なのか？と言うと、
風俗の仕事に対する考え方と、風俗に携わる女の子のメンタル、

表の顔と裏の顔、風俗をどのように捉え乗り越えていくのか？

もう一つの顔、実生活の中でどうやってメンタルを維持していくのか？

ひとりひとり様々な悩み、
葛藤、苦しみに対して、健全に乗り越えていける
サポートをしていきます。

本日は、Y本部長の命日で・・・云々と書きたかったのですが、
犠牲者の名前が全てリンク切れとなっていました。

矢島本部長の名前を勝手に掲載をしております。
個人情報となりますのでこのページはいきなり
削除することもありますが・・・

一条の師匠は、かくも偉大な人であったことを知ってほしくて
こちらに書かせていただきました。

また、勝手な事を致しまして、申し訳ありません。

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師匠との出会いは、平成８年（１９９６年）２１年前の話です。

師匠の名前は、矢島政典（やじま　まさのり）さんです。

その年、自分は店を潰し、借金を抱え、同棲をしていた女性が、
借金返済の為に風俗業界に入ったことが出会いのきっかけでした。

業界入りした自分の彼女の講習（風俗の仕事を教える）を担当した人なのです。

彼女の店の責任者（本部長という役職）ですから、様々な相談事もしていました。

その中で私の事も相談しており、私はホスト業界に長く居たために次の
仕事が決まらずに、しばらくフリーターですから、ヒモの様な生活です。

彼女が矢島さんに、僕のことをボヤいたところから、
系列で京都の店では人手が足りないから、面接に行ってみれば？っと、
声を掛けていただき、私の風俗の業界入りをするきっかけになった人です。

出会ってから２年程が経過した時、
一緒に神戸地区の店の立ち上げをすることになりました。

オープン間もなく売上も順調で、神戸地区の店舗は３店舗になりました。

私は矢島本部長の二番手で役職は店長でした。

私の一番大切な「仕事」は矢島本部長を店に来させないことでした。

矢島本部長からは、一日数回電話連絡が入ります。

その時、報告事項をするのですが、何かあれば、
有った事項の報告を（発端から経過、結論までを耳に入れておきます。）します。

判断のつかない事項だけは、判断を仰ぐために連絡を入れますが、
それ以外は一切こちらから連絡はしません。

矢島本部長の唯一の趣味が麻雀です。
店舗の近くの雀荘でほぼ一日を過ごされます。

私達男子スタッフの合言葉が、
「本部長に安心をして麻雀をしてもらうこと」でした。

現場はすべて滞り無く運営をし、
文句の言われない売上をちゃんと確保しておきますので、
安心をして店を空けてもらって結構です。と、言っておりました。

何かの時にには、矢面に立ち私達部下を庇い、食事に誘ってくれたり、
素晴らしいタイミングでフォローをしてくれたり、絶対に怒らない、
キレない、どっしりと構えた心から尊敬に値する人格者でした。

私は、神戸から横浜地区へ新しい店舗の立ち上げを命じられ、
矢島本部長の元を離れることになります。

それから半年程して、私が会社とのやり取りで、納得がいかなくて、
辞職することにしました。（平成１１年８月のことです）その際も
本部長には様々な相談事をしました。

それから、私は他の大手グループに入社することとなり、
新たな会社で、も間もなく役職となり、現場の仕事に追われ
本部長とは疎遠になっていきました。

平成１７年暮れに、以前、部下であった者から一本の電話がかかってきます。

「矢島本部長が亡くなられたのは知ってはりますか？」

あまりの驚きに・・・はぁ？・・・頭がパニックで意味不明です。

落ち着いて話を聞くと、４月２５日 JR福知山線の列車事故で、
命を落としたと言うことでした。

確かに、事故のことは当時大ニュースで、
事故後１週間ほどは連日報道していた記憶がありました。

慌ててネットで被害者名簿の検索をかけてみました。

確かに、名前があった時は、ガックリきました。

電話をもらった後輩に、矢島さんにお線香でもあげに行きたいので
家の住所を調べてほしいと頼んでおいた。

後日、連絡を入れてみると、矢島さんの家族の方が、
そっとしておいてほしいので、連絡先は教えたくないと、お答えをいただきました。

そこから、毎年、一昨年まで、（今年は諸事情で行けませんでしたが・・）
４月２５日は尼崎の事故現場に出向くようにしています。

１８年４月２５日に初めて現場に立ちましたが、自分自身が死んでいることに

気付かずに現場に残った魂が感じられます。

ひっそりと、深い悲しみに包まれた空間になっています。

私が師匠より教わった一番大切な教えというのは、ヘルス（風俗の名称）
というのは本番をしない。ということです。

僕の借金が原因で、業界入りした当時の彼女を、

僕は心底惚れていました。惚れた女を業界に入れる男の心境は、

心臓を鷲掴みにされる思いが何日も続きます。

いつしか僕も女性に対して講習（仕事を実戦形式で教える）をするようになり、

およそ３０００人位の女の子から女性までを教えた経験がありますが、

たったの一人も講習において本番行為はしなかったのです。

それは、矢島本部長が当時の彼女に僕が付いていたように、

業界入りしてくる女性には、必ず愛する人が付いていると、知っているからです。

私が、そうであったように・・・。

今はもう、矢島本部長と語ることも出来ませんが、

朝晩手を合わせ、一生をかけて師匠の恩に報いようと思います。

ここまで、読んでいただいた、貴方様に、厚かましくもお願いですが、

４月２５日が来ると必ず事故のことが報道されます。
もし、少しでもこの件を思い出すようなことがありましたら、
矢島本部長の冥福を祈っていただければありがたく思います。

師匠の冥福を今日も・・・祈っております。

この世には見えない存在となられましたが、

私の中に今も居られます。

矢島本部長に、感謝の念と敬意を表します。

この世には「恩返し」という言葉があります。
しかし、この世に存在しえない人に恩を返すことは出来ません。

恩返しできない人にどのように応えていけばよいのか？

それには「恩送り」という言葉があります。
自分が受けた恩を、自分を通して誰かに伝えていくということです。

恩を返せないと嘆くのではなく、師匠から受けた恩を、誰かに贈る。

「恩送り」をすることで師匠への恩返しとなります。

矢島さん。名前出してすいません。
検索しても、何処にも居られなくて・・・
暫く、ここに居てもらっていいですか？
「ほんま、すんまへん。」

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それでは、今日も元気に

「いってらっしゃい」